遺産分割協議の方法
税理士さんからの紹介案件のように、既に遺産分割協議が整い、後は登記のみを依頼される場合もあれば、相続登記に係わる全ての手続きを依頼されることもあります。
最も多いのは、法定相続人が死亡した配偶者の一方とその子供の場合です。
この場合、家族内で既に話し合いが終了していますので、その内容どおりの遺産分割協議書を作成し、これに署名・押印をしてもらいます。
最近多いのは、子供のいない夫婦のどちらか一方が亡くなったケースで、この場合、残された配偶者と亡くなった方の兄弟が、法定相続人になります。あるいは、未婚あるいは死別・離婚により独身であって、生涯子がいない人の相続は、兄弟相続といって、亡くなった方の兄弟又は兄弟が既に死亡していた場合は、甥・姪までが法定相続人になります。この場合、親族のお付き合いが疎遠となりつつある現在では、遺産分割の話が具体的になっていることは、あまりありません。
こうして遺産分割の内容から作成を依頼される場合、依頼者の希望のみを相手方に伝えるのみでは時に反発を買うことも少なくありませんので、細心の注意が必要です。
さて、当事務所では以下の方法を採っています。
アンケート方式で相続人の希望を伺うようにする。
理由は、この方式であれば,分割内容の押しつけでは無く相続人の意思を反映した協議となり、不満が残らないと思うからです。
アンケートには、通常4通りくらい提案し、最後に提案内容と異なる場合は、自身の提案を記載して下さいとして、具体的な提案を書くスペースを空けておきます。
- 財産目録を作成した後、法定相続分に分割して支払う旨この場合、不動産等分割が容易でない物を相続した者がこれに見合った代償金を支払う旨の提案になります。
- 相続を希望しない。(事実上の放棄になります)
- 相続分を○○に贈与する。(自分の相続分を相続人の一人に譲って自分は協議に関与しない。相続分贈与契約書を作成し、署名押印をします)
- その他の方法を希望する。具体的には下記の空欄に記載してもらう
提案に当たり先ず、相続財産目録を作成し、相続財産が一覧できるようにします。
不動産は、固定資産評価額をもって、一応の財産価額とします。
不動産は売却により換金する際、不動産業者への仲介手数料、隣地との境界確定のための費用、売却に際して譲渡益が出る場合、譲渡所得税や住民税が課せられ、税や健康保険料の支払い額が増えてしまう可能性があります。
このように、現預金を相続する場合比べて負担が大きくなる為、この分を調整する必要があるからです。一般的には、実際の売買価格は固定資産評価額より高く、1.3倍程度になるかもしれませんが、不動産は一物一価なので、一概に固定資産評価額より高いとは言えません。他の方法としては相続税評価額で算出する方法があり、実際に税理士さんに算出してもらったこともあります。