不動産売買の立会

不動産売買の立会(最終代金決済)

不動産売買の契約をしたい

 不動産売買の立会は、現在も司法書士の重要な業務として一般に認知されている業務でしょう。
最終代金の決済までの一連の流れについて説明致します。

1.

不動産屋さんから立会日の都合について連絡があります。

2.

売買契約書・登記事項証明書(旧登記簿謄本)・固定資産評価額証明書をFAXしてもらいます。買主が銀行ローンを利用する場合、設定額(抵当権の場合は借入額と同額です)の連絡を受けます。

3.

登記事項証明書と売買契約書を照らし合わせながら、次の事項を確認します。

①売主の住所 登記簿上の住所と売買契約時の住所は同じか、異なっていれば売主の住所変更登記が必要になり、住民票・戸籍の附票等で現在の住所までのつながりを付ける必要があります。

②土地の場合 地目が農地(田・畑)でないか?
農地の場合、農地法の許可又は届出が必要です。
これには、一定の日数を要しますので、立会日までに許可書(届出書)が整うか?登記簿の面積と評価証明書の面積が同じか?
評価証明書の記載は、評価証明年度の1月1日現在のものなので、その年度に入って分・合筆がありますと、㎡単価に登記簿上の面積を掛ける等して、評価額を売買の対象となる土地の面積に修正する必要があります。

③建物の場合 これも、評価証明と登記簿の同一を確認します。
評価証明の方が面積が大きい場合は、評価証明の額を採用します。
これは、増改築等行ったものの床面積の変更登記を行っていない場合です。

④抵当権等の担保権や差押えの有無の確認
担保権は抹消する必要があり、抹消登記の必要書類について銀行等担保権者に連絡を取る必要があります。差押え(既に抹消されていて過去のものでも)については、とても気を遣います。差押えの取下げ書類を事前に確認し、場合によっては、立会時に書類を預かり、こちらから裁判所に提出することも検討します。
差押えを受けた売主の背景を考慮し、立会当日に裁判所から差押えの登記が入る可能性も考慮し、通常の売買より立会時刻の接近した時点で、登記情報(登記簿の内容をインターネットで取得する)を取り寄せ確認し、決済後大至急でオンライン申請して順位を確保します。
決済日当日、申請までになされた差押え登記は、予測が不可能な登記なので、司法書士に責任はありませんが、可能な最大の手立てを尽くして立会を行うべきであると考えるからです。

⑤買主・売主(住所変更や担保権の抹消がある場合)さんの登記費用を、不動産業者にFAXします。

⑥登記に必要な、登記原因証明情報・委任状の書類を作成します。
登記原因証明情報とは、登記申請に至る法律的な理由を、主に売主からの報告形式による書面を作成し、これに押印します。
売買の場合は、○○日売買契約を締結し、契約条項には、売買代金完済時に所有権移転するとの条項がある。買主は売主に対し、○○日売買代金全額を支払った。よって、所有権は売主から買主に移転した。との内容です。

4.

立会日当日

①立会時刻の前にオンライン登記情報を取得し、登記事項に変更がないか確認します。立会の書類は、この情報を前提に判断しますので、万一これを怠って登記事項の変更を見逃したことにより、所有権移転登記等が不可能になった場合、当然、司法書士の責任を問われます。

②立会の席で名刺交換等各自紹介を行います。

③売主・買主に内容を説明の上、署名・押印をしていただきます。
同時に買主は住民票・売主は、印鑑証明書、権利証(登記識別情報)固定資産評価額証明書原本 担保権の設定又は抹消がある場合これらの書類等を受領します。さらに、犯罪収益移転防止法(マネーロンダリングの防止)により、売主・買主の身分証明書の提示を受け、コピーを預かります。

④売主の印鑑証明書と押印した印の一致、登記簿とその他の書類の一致等を確認します。

5.

決済

 必要な全ての書類の確認及び印鑑照合が終わりましたら、「決済(資金の授受)をしていただいて結構です。」と当事者(不動産仲介業者や資金を融資する銀行)に告げます。この一言により、決済が行われます。
 融資が実行され、買主は、預金を払戻して、あるいは持参した現金を売主に渡すことによって最終売買代金の支払を完了し、売主は買主に代金の領収書を渡します。
 この行為により、不動産の所有権は買主に移転し、司法書士は、前掲の差押えのような特殊な事例を除き、担保権等の無い真っ新なままの状態での所有権移転登記を完了させる義務を負うのです。

 なお、担保権の抹消を伴う決済で、売主が受け取った売買代金をローンの返済のために該当銀行に振り込みする場合、着金確認と言って口座への振込金の入金まで立会の席に全員が留まるケースがあります。
その間、場合によっては30分を超えることもありますので、世間話をして時間をつぶします。この座持ちをするのが不動産仲介業者の役目とも言えましょう。